青山病院跡の池(琵琶池)

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 所在地:渋谷区神宮前5-53-7
 
 上の写真を見て、それが渋谷区の青山通り近くにある池だとは俄かに信じられないかもしれません。僕もこの付近は何度も訪れていながら、最近までその存在を全く知りませんでした。
 渋谷区の青山学院キャンパスから青山通りをはさんだ向かい側、国連大学や旧こどもの城(2015年閉館)の敷地には江戸時代には山城淀藩・稲葉家の下屋敷がありました。この土地は明治末から昭和43年まで東京都電(当初は東京市街鉄道)の青山車庫があり、運転士の訓練のための教習コースもありました。この敷地には大きな池があり、池の周囲を廻るように線路が敷かれていました(下の地図参照)。この池は地形的に見て、湧水池と思われ、稲葉家時代から庭園に存在し、「琵琶池」の名があったようです。
 
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(明治末期の地図)
 
 1968年の都電廃止後、青山車庫の跡地は東京都職員共済組合の青山病院となり、1980年代には青山通りに面して国連大学や「こどもの城」などが建設されます。その裏手にあった病院は2008年に閉鎖、解体され、現在は住宅展示場となっています。
 池は当初の規模に比べれば、面積が縮小しているようですが、それでも結構な大きさで、しかも、野趣あふれる池です。
 訪問時にはカルガモのカップルが羽を休めており、ハクセキレイなども見かけました。対岸は鬱蒼と木が茂り、池や水辺にいろいろな生物が生息していそうな雰囲気です。
 ただ、インターネットで調べてみると、水が涸れていたという記述もあり、僕が訪れたのは大雨が続いた秋の終わりだったため、恒常的に水を湛えているのかどうかは分かりません。そのうちまた見てこようと思います。
 
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 池の周囲はフェンスが張り巡らされ、水辺に近づくことはできませんが、住宅展示場の駐車場から見ることができます。
 また、国連大学に隣接するコスモス青山の裏手からも池を覗くことはできます。
 将来的に再開発の対象となりそうな場所ですが、大都会の真ん中のこの貴重な池と周囲の環境を公園として、あるいは人間が近づけないサンクチュアリとして、ずっと残してほしいと思います。 

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朝倉彫塑館の池

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 所在地:台東区谷中7-18-10

 台東区立朝倉彫塑館は近代日本を代表する彫塑家で文化勲章受章者、朝倉文夫(1883‐1964)の自宅兼アトリエだった建物です。
 朝倉が東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科した明治40(1907)年、谷中に自宅兼アトリエを構え、その後、増改築を繰り返して昭和10(1935)年に完成したのが現在の彫塑館の原型です。朝倉自身が設計し、細部にまで工夫を凝らした見事な建築で、ここで門下生の育成も行いました。
 朝倉の死後、故人の遺志で1967年から遺族により一般公開され、1986年に台東区に移管されて台東区立朝倉彫塑館となりました。
 2001年に建物が国の有形文化財に登録され、2008年には敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されています。

 館内に展示された作品はもちろん、和風木造建築の住居棟、洋風モダン建築のアトリエ棟も見どころが多く、アトリエの屋上には庭園まであって、かつては塾生たちが野菜を栽培していたそうです。昭和初期にこのような屋上庭園が存在したことが、この建物の先進性を物語っています。

 さて、東京の池探訪者としては、これらの建物群に囲まれた中庭です。さほど広いものではありませんが、中庭の大部分は水面に占められ、その水源は地下に湧く井戸水だといいます。かなり水深がありそうな池には鯉が泳ぎ、儒教の「仁・義・礼・智・信」をあらわすという五つの巨石を中心に大小の石を配して、これも見事な池泉庭園となっています。
 残念ながら、彫塑作品だけでなく、建物の内部や中庭も撮影禁止なので、池の写真はありません。

 住居棟の玄関。
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  玄関から門へ通じる水路風の池の水は中庭の池からくるものでしょうか。
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 オリーブの木が植えられた屋上庭園からはスカイツリーがよく見えます。
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 睡蓮鉢。
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 開館時間 9時30分~16時30分

 毎週 月・木曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始

 入館料 一般500円 高校生以下250円

 

  

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千鳥ヶ淵公園の池

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所在地:千代田区麹町1-2

 桜の名所としておなじみの千鳥ヶ淵公園のうち、半蔵門にほど近い半蔵濠に面した場所に四角い池があり、その真ん中に「自由の群像」があります。
 昭和30年に新聞事業先覚者20名を顕彰する目的で、電通が創立55周年記念事業として建立したものです(顕彰対象者はその後、追加されています)。像の制作者は菊池一雄。

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(「自由の群像」は自由のシンボル鳩の休憩場所になっている?)
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 池そのものは人工的で味気ないものですが、金魚が泳いでいます。

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 公園から見た半蔵濠と半蔵門。
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湯島聖天の放生池と「柳の井」

 

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 所在地:文京区湯島3-32-4

 湯島天神の男坂下にあるのが湯島聖天・心城院(天台宗)です。
 元禄7(1694)年、湯島天神の別当寺・喜見院の第三世宥海大僧都が湯島天神境内にあった宝珠弁財天堂に菅原道真(=天神さま)と縁の深い大聖歓喜天(聖天さま)を奉安したのが始まりで、本尊の聖天は比叡山延暦寺から勧請された慈覚大師作と伝えられています。
 喜見院は明治の神仏分離令により廃寺となりましたが、聖天堂は湯島天神との関係を断ったうえで存続し、心城院と名を改めて現在に至っています。
 境内には宝珠弁財天の放生池があります。「江戸砂子にいう。此所の池は長井実盛(のちに斉藤別当実盛になる)庭前の池と伝ふ。昔は余程の池なりしを近世其の形のみ少しばかり残りたり」と記され、昔は太鼓橋が架かるほどの大きな池であったようです。当時から病気平癒などの祈願で縁起のよい亀を放す習慣があったそうです。
 その後、都市化により池は失われましたが、復活を望む声が多く寄せられ、平成23年に「心」の字を模した心字池が造られ、再び亀が放されたということです。
 小さな池ではありますが、太鼓橋も架かり、亀や金魚、鯉などが泳いでいます。

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 境内にはほかに江戸の名水として知られる「柳の井」があります。この水で髪を洗えば美髪・厄除けのご利益があるとされ、また関東大震災の時には湯島天神境内に避難した多くの罹災者の生命を守った唯一の水として、当時の東京市長から感謝状を受けたということです。

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(柳の井)

 境内にはまた水琴窟もあります。
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浅草寺伝法院庭園特別公開2016年春

浅草寺の伝法院庭園(通常非公開)が今年の春も特別公開されています。

   金龍山浅草寺 「伝法院庭園特別拝観と大絵馬寺宝展」

 期間  平成28年3月18日(金)~5月9日(月)

 時間  10:00~16:30(入場16:00まで)

 拝観料 一般300円
 (収益金は東日本大震災復興支援に寄付されます)

 小堀遠州作の美しい庭園や浅草寺の貴重な寺宝を拝観できる貴重なチャンスです。ぜひ出かけてみてください。

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(写真は2015年春の公開時)


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